早春の陽光に誘われて「長江集落」を訪ねた。下準備として「1/25000地形図」「夕日寺公民館の記念誌・長江谷物語」を熟読しそなえた。又、野良で出会う地元の人たちを引込んでは情報収集に努めた。
「あんた物好きやね」と随分言われたが心地良かった。
2月下旬の里山、特に今年は谷筋の残雪が多くナダレ跡も表面が泡上になって腐っている。私のかっこうは春山登山の装備にスキ-ストック、異様に映った事だろう。
今回の目的は長江集落10本の谷や谷内田を見極める事。そしてすべてに名前があるのだが、村の人たちは皆丁寧に教授してくれた。中には谷の入り口まで案内してもらえる事もあった。
金腐左岸の小谷
- アサム谷(外環上線/高田団地西側の谷)
- 栃谷(トッタン・・高田団地/長江団地)
- 西谷(ニシタン・・・市道24号卯辰山千寿閣線)
- 思毛谷内(おもやち・・・西谷より分岐、旧火葬場跡・資材置場より農道)
- ミツカンダン(東長江大橋手前/ロ-タリ-/民家横より農道)
- 一の谷(大橋手前/長井さん宅横より農道)
五百石谷・大滝川(ナガエ1番の支本流)
五百石谷・大滝川は二の谷(ニノタン)南谷(ミナミタン)/四の谷(シノタン)の枝谷を従える。長江集落最大の耕作地である。かつてゴルフ場が出来るまでは、蒼々たる幽谷の中に男滝(幅1.8m、高さ10.8m)女滝、蹴落しの滝(高さ18mの布引の滝)の奇勝があったという。今は調整池(砂防堰堤)となりすっかり埋没してしまった。
雪解けでかなりの水量がコンクリ-ト導水路から落流していた。今回私が訪れた時はまだ残雪深く、腰までのラッセルのすえようやくたどり着いた。
冬鳥(かも)の飛立つ羽音があたりの静寂を打ち消した。
四の谷(シノタン)
四の谷を角間へ抜けようと25000/1地形図を確認、谷両岸に細い水流あり。農道は谷右岸、田はすべて耕作放棄、一部杉植林あり。入口付近は、わずかに畑への転用(家庭菜園程度)が見られる。
浅くけっこう両岸が切り立っている。地肌もほとんど隠れ、落雪の心配もあり途中引き返す。
南谷(ミナミダン)
大滝川にコンクリ-ト橋が架かる。水流は右岸の方が多い。田地は西側、農道はかろうじて舗装。カンジキの踏み跡がしっかり付いている。カモシカの足跡かなり大きい。水流の手入れや、林縁のササ刈、水路のドロ揚げなど大層苦労の跡が見られ驚かされる。
350~400m進むと農道は行止となり、「私有地につきこれより先侵入禁止」の表示あり。辺りは切立った砂上岩盤で一気に落込んでいる。急峻でスケ-ルの大きい荒地で、スゲ類やダイモンジソウなどの植生が見られ、山菜のゼンマイなども確認できる。上部に小瀧を掛け水流は地下水脈へと消えてゆく。
急峻で巻けないが上部は健民公園となる。
北陸電力御所線No.25・・・北陸電力の送電線巡視路
南谷へのコンクリ-ト橋のすぐ脇に鉄製の10段位の梯子が尾根に取付いている。鉄塔まではかなり急峻だが、少々の辛抱で快適な尾根歩きが楽しめそう。今は残雪で刈込み状況は確認できない。巡視路の草刈など管理は、毎年きちんとなされていると聞く。
健民公園の雄大な芝生でのんびり過すのも良さそうだ。
ここはかつてユキワリソウ群生地として知られていたがその顛末は知らない。
アサム谷遡行
県道よりの取付きはわかりにくいが、残雪期でもあり難なく墓地公園に達する。浅い谷で耕作は完全放棄。モウソウの進出凄まじく、水流も上部は鋼鉄コルゲ-ト管の水路。山鳩の声を聞く。
帰路は仏舎利を上高方に見上げて思毛谷内への切土・法面を一気に滑り降りる。
快適であった。
ひだまりにフキノトウが芽吹いていた。今年初めて鶯のまともなホケキョ-を聞く。ショウジョウバカマの蕾み脹らむ。畦のせっぴに足をすくわれながらも西谷の出合に達した。市道24号の湧水はちょろちょろで面影なし。
一の谷 〜 墓地公園 〜 鈴見大池(健民公園)〜 二の谷
このルートはかつての人気ハイキングコ-ス。今回はムリであったが、雪解けを待って探索しぜひ復元につなげたい。
地域の人たちとの交流・繋がり理解や連携には皆それなりの期待感をもっていると思う。今回その事を実感した。
(文:あっきー)
|