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ilm20_ac01001-s.png里山の情景 2011年度

 ゆめのたね(夕日寺自然体験実行委員会)がおこなっている自然体験プログラムの報告や、準備作業などの様子をブログ形式でご紹介します。

2011.4.1 春とおからじ

 2010年は私にとって散々な年であった。体調をこわしたせいもあり、特に夏の猛暑はこたえた。

 それだけに、旧年が何とか無事に終わった事と新たな気持ちで新年を迎えようと大歳はゆっくり過したいと思っていた。しかしながら、まったく出鼻をくじかれた感がある。毎年12月27・28日頃は正月の準備のため近くの里山を歩く。

 お雑煮にはセリ、おせちの彩りにフキノトウは欠かせないが今年は無理であった。玄関のお飾りは、藁が手に入らないので「マコモ」を入手し何とか完成させた。神棚の天神様や仏様のお花には「雄松と雌松」「梅」「やぶこうじ」などを自庭で用意した。床の間の鏡餅は杵つきとしが真空パックであった。「うらじろ」「ほんだわら」「ゆずりは」「くしがき」「だいだい」は市販のものを買い求め三方に供えた。
 こうして我家の正月は今年もまたバタバタと過ぎたが、子供、孫たち総勢9名が2日間里帰りし、歳神様も「ぶれいこう」で楽しまれた事と思う。

 7日正月の七草粥は、妻が怪しげな袋づめをスーパ-から買ってきて食したが、まずくて庭の鳥のエサとなり、印刷されたレシピだけが空しく残った。

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 お正月の行事はそれぞれであろうが、そこには暮らしに溶け込む「人と自然のかかわり」私たち日本人の感性や価値観の原点を見るような気がする。大切にして行きたい。

 2011年新春、金沢気象台発表1月の県内気象は、2度の寒波来週で記録ずくめとなった。特に「雪日数」は30日で、ほぼ毎日が雪や吹雪となり、平均気温も平年を2度近く下回る厳冬となった。夕日寺の里山もすっかり雪に覆われ、動物たちはじっと辛抱の時を過ごしているし、木々の芽吹きや花穂のガ-ドも硬い。
 それでも立春をすぎると、季節は確実に春を告げ、生物(いきもの)たちの命の活動がまた始まる。

(文:あっきー)

2011.4.2 早春散策

 早春の陽光に誘われて「長江集落」を訪ねた。下準備として「1/25000地形図」「夕日寺公民館の記念誌・長江谷物語」を熟読しそなえた。又、野良で出会う地元の人たちを引込んでは情報収集に努めた。

「あんた物好きやね」と随分言われたが心地良かった。

 2月下旬の里山、特に今年は谷筋の残雪が多くナダレ跡も表面が泡上になって腐っている。私のかっこうは春山登山の装備にスキ-ストック、異様に映った事だろう。
 今回の目的は長江集落10本の谷や谷内田を見極める事。そしてすべてに名前があるのだが、村の人たちは皆丁寧に教授してくれた。中には谷の入り口まで案内してもらえる事もあった。

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金腐左岸の小谷

  • アサム谷(外環上線/高田団地西側の谷)
  • 栃谷(トッタン・・高田団地/長江団地)
  • 西谷(ニシタン・・・市道24号卯辰山千寿閣線)
  • 思毛谷内(おもやち・・・西谷より分岐、旧火葬場跡・資材置場より農道)
  • ミツカンダン(東長江大橋手前/ロ-タリ-/民家横より農道) 
  • 一の谷(大橋手前/長井さん宅横より農道)


五百石谷・大滝川(ナガエ1番の支本流)



五百石谷・大滝川二の谷(ニノタン)南谷(ミナミタン)/四の谷(シノタン)の枝谷を従える。長江集落最大の耕作地である。かつてゴルフ場が出来るまでは、蒼々たる幽谷の中に男滝(幅1.8m、高さ10.8m)女滝、蹴落しの滝(高さ18mの布引の滝)の奇勝があったという。今は調整池(砂防堰堤)となりすっかり埋没してしまった。
 雪解けでかなりの水量がコンクリ-ト導水路から落流していた。今回私が訪れた時はまだ残雪深く、腰までのラッセルのすえようやくたどり着いた。
 冬鳥(かも)の飛立つ羽音があたりの静寂を打ち消した。


四の谷(シノタン)


四の谷を角間へ抜けようと25000/1地形図を確認、谷両岸に細い水流あり。農道は谷右岸、田はすべて耕作放棄、一部杉植林あり。入口付近は、わずかに畑への転用(家庭菜園程度)が見られる。
 浅くけっこう両岸が切り立っている。地肌もほとんど隠れ、落雪の心配もあり途中引き返す。


南谷(ミナミダン)


大滝川にコンクリ-ト橋が架かる。水流は右岸の方が多い。田地は西側、農道はかろうじて舗装。カンジキの踏み跡がしっかり付いている。カモシカの足跡かなり大きい。水流の手入れや、林縁のササ刈、水路のドロ揚げなど大層苦労の跡が見られ驚かされる。
 350~400m進むと農道は行止となり、「私有地につきこれより先侵入禁止」の表示あり。辺りは切立った砂上岩盤で一気に落込んでいる。急峻でスケ-ルの大きい荒地で、スゲ類やダイモンジソウなどの植生が見られ、山菜のゼンマイなども確認できる。上部に小瀧を掛け水流は地下水脈へと消えてゆく。
 急峻で巻けないが上部は健民公園となる。


北陸電力御所線No.25・・・北陸電力の送電線巡視路


 南谷へのコンクリ-ト橋のすぐ脇に鉄製の10段位の梯子が尾根に取付いている。鉄塔まではかなり急峻だが、少々の辛抱で快適な尾根歩きが楽しめそう。今は残雪で刈込み状況は確認できない。巡視路の草刈など管理は、毎年きちんとなされていると聞く。
 健民公園の雄大な芝生でのんびり過すのも良さそうだ。
 ここはかつてユキワリソウ群生地として知られていたがその顛末は知らない。


アサム谷遡行


 県道よりの取付きはわかりにくいが、残雪期でもあり難なく墓地公園に達する。浅い谷で耕作は完全放棄。モウソウの進出凄まじく、水流も上部は鋼鉄コルゲ-ト管の水路。山鳩の声を聞く。
 帰路は仏舎利を上高方に見上げて思毛谷内への切土・法面を一気に滑り降りる。

 快適であった。

 ひだまりにフキノトウが芽吹いていた。今年初めて鶯のまともなホケキョ-を聞く。ショウジョウバカマの蕾み脹らむ。畦のせっぴに足をすくわれながらも西谷の出合に達した。市道24号の湧水はちょろちょろで面影なし。


一の谷 〜 墓地公園 〜 鈴見大池(健民公園)〜 二の谷


 このルートはかつての人気ハイキングコ-ス。今回はムリであったが、雪解けを待って探索しぜひ復元につなげたい。
 地域の人たちとの交流・繋がり理解や連携には皆それなりの期待感をもっていると思う。今回その事を実感した。

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(文:あっきー)